違法アップロードと訴訟 - デジタルコンテンツは簡単にコピー・配布できるため、違法アップロードや
P2Pが広まった。それに対して、RIAAは威圧的な訴訟で対抗しようとしている。確実な証拠が無くても、
1曲あたりの侵害に750~150000ドルの訴訟を起こすと持ちかけ、和解案 (4000ドル) をちらつかせる等。
侵害に対する量刑 - 以前は金銭的利益に関する侵害のみが犯罪で、刑期も軽かったが、1994年に改訂
されて利益に関わらず犯罪とされるようになり、今後も厳罰化に向かっている。
P2Pの出現 - Napsterにより世界中のユーザー間でコンテンツが不法に共有される現象が始まった。
Napster自身はコンテンツを仲介しているだけだったが、RIAAが訴訟を起こし、2000年に停止が命じられた。
NapsterはP2Pやインターネットでのコンテンツ流通の可能性を示したが、業界は反発を続けた。
そのうちにアップルがiTunes Storeを開始し、商用ダウンロードサービスとして成功を収める。
中央サーバーのないP2P - Napsterと異なり、コンテンツ情報を集める中央サーバーの無い形のP2Pも現れた。
Grokster等のそれらのサービスをRIAAは訴えたが、違法ファイルの共有以外にも利用できることから、
明確に侵害を助長する異図で配布した機器やソフトのみが違法となった。だが、罰金があまりにも高い
ことから、新技術の開発を萎縮させる効果はあった。
DRMについて - コンテンツを販売する際に、複製や配布を防ぐために、DRM付きで売る会社が現れた。
DRMによって、従来の本やCDでできた友人に貸したり、中古に売るといったことができなくなった。
また、DRMの多くが特定の会社の製品に依存することから、DRMによる囲い込みも懸念される。
一方、DRMを回避して複製する方法や、アナログ的に写真やビデオを撮って再デジタル化する方法も
現れた (ハリー・ポッターの最終巻は販売前に全ページを撮影したものが広まった) 。
禁じられた技術 - DRMを回避する技術の開発自体は違法ではなかったが、DVDのDRMが破られて広まった
のを受けて、それらも違法とされた (DMCA)。iPhoneをアンロックすること自体は違法ではないが、
その方法を開発して広めることはDMCAに抵触する。デジタルコンテンツの周辺技術に対する制限や
訴訟リスクは、技術革新を萎縮させる効果がある。
著作権のバランス - 1790年当時、アメリカの著作権の期限は28年だったが、現在は著者の死後70年まで
伸びている。デジタル技術により、消費者側はコピーを行い、著作者側はDRMや訴訟で対抗したため、
著作権と消費者のバランスが崩れた。だが、DRMフリーの楽曲販売や楽曲配信の包括契約など、
対立以外の傾向も見られるようになってきた。
所有権について - コンテンツの権利者の権利がどこまで及ぶべきかは、公共の利益との兼ね合いもあり、
均衡点が探られている。Googleの書籍インデックス化計画など。また、クリエイティブコモンズのように
作品を共有する思想も登場している。